アンダーグラウンド・コミックス / Underground comix
X指定の自費出版漫画
概要
アンダーグラウンド・コミックスは小規模出版、または自費出版の漫画。社会風刺的な内容が中心だが、ほかに出版コードを取得して発行される主流漫画と異なり、ドラッグ、性、暴力など禁じられた表現を描いた作品群を指す。
1968年から1975年にかけてアメリカで、イギリスでは1973年から1974年にかけて最も流行した。配布されていた場所は、おもにヒッピー達が雑貨や大麻を販売していたヘッド・ショップである。
アンダーグラウンド・コミックスは、"Underground comix"という綴りだが、"comix"という綴りは、メインストリームの"comics"と区別するために造語された綴りであり、XはX指定のことを意味している。
ロバート・クラム、ギルバート・シェルトンをはじめ、多くの漫画作家がカウンターカルチャーシーン内で読者を獲得して地下作品を描いた。また音楽業界、特にパンクシーンにおいてもゲーリー・パンターのようなアングラ漫画作家を育て上げた。
『Zap Comix』1号が成功すると、ほかのさまざまなアンダーグラウンドマンガ作家の作品が掲載されるようになる。掲載された作家は、S.クレイ.ウィルソン、ロバート・ウィリアムス、スペイン・ロドリゲス、ギルバート・シェルトン、ほかにロックコンサートデザイナーのビクター・モソコソとリック・グリフィンの二人のアーティストである。これら初期メンバーの作品は、クラムとともに散発ながらも安定した形で登場し、Zap全体のイメージを最後まで維持し続けた。
歴史
アメリカ
1920年代後半から1940年代後半の間に、匿名のアンダーグラウンド芸術家たちによって性的行為を行う人気漫画キャラクターを無断で描いたポルノ・パロディ漫画が流行した。
「ティファナ・バイブル」として言及されることがあるこれらの本は、アンダーグラウンド・コミックス・シーンの先駆けと見なされていることが多い。
1960年代初期からなかば頃にかけてアンダーグラウンド・コミックスらしき作品がいくつか散見されたが、頻繁に現れるようになったのは1967年以後である。初期アンダーグラウンドコミックスは芸術家の友人間で個人的に制作された作品であり、またアンダーグラウンド新聞に初めて掲載された漫画ページの再版だった。
代表的なのは、1968年にカリフォルニア州のサンフランシスコでロバート・クラムが、ハイト・アッシュブリー地区の路上で販売発行した自費出版漫画『Zap Comix』である。『Zap Comix』が一般的に「アンダーグラウンド・コミックス」というジャンルを流行らせ、独自の市場を作ったと考えられている。