アビゲイル&ブリタニー・ヘンゼル姉妹/ Abby and Brittany Hensel
「1つの身体、2つの魂」
概要
生年月日 | 1990年3月7日 |
障害名 | 双頭側部結合型双生児 |
学歴 | ベテル神学校 |
アビゲイル&ブリタニー・ヘンゼル姉妹(1990年3月7日生まれ)はアメリカの結合双生児。双頭側部結合型で頭は2つだが胴体は1つである。
彼女たちは結合双生児のなかでも左右対称性が非常に高く、普通のプロポーションとさほど変わらない単一身体の外観が特徴である。しかし実際には、いくつかの器官は二人分ある。たとえば、心臓、胃、脊椎、肺、脊髄などは各双子は別々に有している。
誕生時、双子の両親は手術後に生き残る可能性はきわめて低いと医者から聞かされ、分離手術はしないことにしたという。
各双子は、身体の半分側だけを自主的に動かすことができ、片方の腕と片方の足を動かすことができる。乳幼児期に、拍手、這い這い、歩行など初期の全身運動学習では、双子の自主的な協力が必要だったという。
彼女たちは食べたり書いたりは、別々または同時にすることができるが、走ったり、泳いだりといった全身を同時に動かす活動をする場合は、2人で協力して個々の身体部位を動かす必要がある。
双子はミネソタ州カーバー郡で生まれ、同州のニュー・ジャーマニーで育った。母パティは登録看護師で、父マイク・ハンセルは大工、造園工事業者である。彼女たちには弟と妹がいる。メイヤーにあるメイヤー・ルーザラン・ハイ・スクールに通い、2012年にセント・ポールにあるベテル神学校を卒業。
これまで、彼女たちが成長していく様子は、『ライフ・マガジン』や『オプラ・ウィンフリー・ショー』など数多くの人気メディアに取り上げられてきた。16歳のとき、2006年12月17日の「ザ・ラーニング・チャンネル」のインタビューで、彼女たちは日常生活や未来の計画について話している。また、2012年に「ザ・ラーニング・チャンネル」は、彼ドキュメンタリー番組『アビゲイル&ブリタニー』で彼女たち自身が主演を演じた。
臓器分布と手術の経過
・2つの頭
・2つの脊椎(肋骨で結合し、尾てい骨で完全に1つに融合している。脊柱側弯症を矯正するために手術をしている。)
完全に分離した2つの脊髄
・1つの大きな胸郭と2つの高度に融合した胸骨(呼吸困難を防ぐため胸腔の拡張手術をしている)
・2本の腕(最初は3本だったが、肩甲骨の首元にあった未発達の腕を手術で取り除いている)
・2つの胸
・2つの心臓(循環機能は共有されているため、片方が薬を飲むと両方の循環機能に影響を及ぼす)
・4つの肺
・1つの横隔膜
・2つの胃
・2つの胆嚢
・1つの肝臓
・1つのY字型の小腸
・1つの大腸
・3つの腎臓(左に2つ、右に1つ)
・1つの膀胱
・1組の生殖器官
・2つの別個の半仙骨
・1つの少し広い骨盤
・2本の脚
出生時、彼女らの背中の肩甲骨、首の根元あたりに未発達の腕がついていた。これはアビゲイルの左腕とブリタニーの右腕が結合した未発達の腕である。この未発達の腕は手術で除去された。
アビゲイルの頭は右横に約5度傾いており、ブリタニーの頭は左横に約15度傾いている。背はブリタニーのほうが少し低い。ブリトニーの足はアビゲイルの足よりも2インチ短く、歩く際にはブリタニーはつま先を立てて歩くことがある。そのためブリタニーふくらはぎの筋肉はアビゲイルよりもかなり発達している。
ブリタニーの方が成長が早く止まった、アビゲイルの脊椎の成長は続いていたため、手術でアビゲイルの成長を止めている。12歳のとき彼女たちはジレット・チルドレンズ・スペシャルティ・ヘルスケアで手術を行い、脊柱側弯症を矯正し、将来発生しそうな呼吸困難を防ぐために胸腔の拡張手術を行っている。
双子は結合された身体の片側のみ動かすことができる。触覚も片側だけ感じるようになっている。たとえば右手を怪我すると痛みを感じるのは右半身(アビゲイル)のみであるという。正中線上に小さな重なりがある正中正矢状面に陰影がある。しかしながら、胃痛は反対側の身体だけ感じるという。
全身運動
走る、泳ぐ、自転車を漕ぐといった両手足を使った全身運動は2人が協力することによって可能であり、あらゆる全身運動は人並みにできる。人並みの速度でコンピューターのキーボードを打つことができ、車の運転も可能である。
2人は運転免許を取得している。試験時は双子に対して1回ずつ試験を受ける必要があり、つまり2回試験を受けた。アビゲイルは運転席の右側を操作し、ブリタニーは左側を操作する。ハンドルは一緒に操作する。
しかし、アビゲイルの身長は157cmでブリタニーの身長は147cmで身長差があるため、セグウェイの運転はバランスを取るのが難しかったという。
二人の性格は異なる
彼女たちはそれぞれ好き嫌い、得意、不得意が異なる。たとえば、アビゲイルは数学が得意で、ブリタニーは作文が得意である。食事は二人前で別々に食べるが、ときどき利便性のため一人前で分け合うこともある。
電子メールの返信などのようなタスクをする場合は、2人で口頭で話し合うことは少なく、お互いの気持を予測しながらタイプを打ち、返信するという。一人称を使う場合、二人とも同意する場合は「I」を使い、意見が異なる場合は各名前を使うという。
2人はプライベートな生活をしているときに、見知らぬ人たちから写真を撮られたり、じろじろ見られるのをかなり嫌がっている。2006年のディスカバリー・チャンネルのインタビュー時、当時16歳のとき、彼女たちはデートをして結婚して、子どもを作りたいと語っている。
メディア露出
1996年4月8日と4月29日に放送されたトーク番組『オプラ・ウィンフリー・ショー』に出演している。また同月、彼女たちは『ライフ』の表紙に「One Body, Two Soulsというキャッチとともに写真が掲載された。
2002年にディスカバリー・ヘルス・チャンネルで、アドバンス・メディカル・カンパニー製作による2人の1年間に密着したドキュメンタリー番組『Joined for Life』を制作を開始。翌年2003年3月27日にオンエアされた。2006年に同じくアドバンス・メディカル・プロダクションが続編の『Joined for Life: Abby and Brittany Turn 16』を製作、思春期、学校、社会生活、運転免許書取得などの日常生活に触れたもので、YouTubeでよく見かける映像の1つある。
現在は毎週金曜日に新作ビデオがアップロードされるYouTubeのドキュメンタリー番組『ネイキッド・ストリーズ』に定期的に出演して、日常生活を配信している。