ハバナ症候群 / Havana Syndrome
某国のマイクロ波兵器の可能性
概要
ハバナ症候群とは、2016年末にキューバのハバナに駐在する米国の諜報員や大使館員が初めて罹患した一連の衰弱症状のこと。翌年には、世界各地のアメリカ人外交官が同様の症状を報告している。
この症状を調査している研究者たちはマイクロ波兵器の影響を受けている可能性があると述べている。症状は脳震盪や軽度の頭部外傷のようなもので、海外に派遣されている外交官、諜報員、軍人およびその家族から報告されている。
現在までに130人以上がハバナ症候群に罹患しており、米国内に滞在中に症状を訴えた関係者もいる。症状に悩まされるだけでなく、後遺症も長く残るという。
症状
2016年末、派遣された外交官たちは、夜間に大きな刺すような音を聞き、顔に強い圧力を感じ、その後、痛み、吐き気、めまいが続いた。
音はやがて収まったが、一部の人は痛みやめまいが続き、集中力が低下したと訴えている。これらの症状は、派遣期間中の仕事に支障をきたすほどだった。
その後、多くの諜報員や軍人から、混乱、吐き気、方向感覚の喪失などの症状が報告されたが、これらの症状は頭や耳の痛みや圧迫感から始まったという。
また、集中力の低下、頭がぼーっとする、記憶力の低下、光に敏感になる、睡眠障害(眠気、不眠)などの症状も報告された。
ハバナ症候群の長期的な後遺症には以下のようなものがある。
偏頭痛
遠くを見るときの視力問題
斜視
繰り返すめまい
鼻血
専門家によると、全体的な症状は頭を打ったときの症状に似ているとのことだが、頭を打ったことやそれに関連した既往症があったという人はいなかった。
原因
当初、専門家はハバナ症候群の原因として、毒性のある化学物質、農薬、薬剤などを誤って、あるいは意図的に暴露したのではないかと考えていた。しかし、そのような化学物質の痕跡は、被害者やその家からは発見されなかった。
ハバナ症候群の原因として最も可能性が高いのは、超音波やマイクロ波のエネルギーを発する何らかの機械装置であると考えられている。
非常に特殊な生物兵器を使って高周波エネルギーを照射すると、耳の中の体液にマイクロバブルが発生する可能性がある。
この気泡が血液中を通って脳に到達すると、減圧症(深海ダイバーが急に浮上したときに発症する障害)と同様に、微小な空気塞栓が生じて細胞が損傷を受ける可能性がある。
もう一つの説明は、高周波が頭蓋骨に直接照射されることで、脳内の電気的・化学的活動が乱され、特定の神経経路が再配線されることで症状が発生するというものである。
症状が重く感じられ、後遺症が長く残るのは、この再配線が原因かもしれない。
衰弱しているとはいえ、ハバナ症候群は致命的ではなく、罹患者は全員生存している。
治療
磁気共鳴画像(MRI)を健常者と比較したところ、白質(主に有髄の神経線維の束を含む脳や脊髄の淡い組織)の構造に差異が見られた。
これは、ハバナ症候群が、脳の活動と構造の非特異的で原因不明な変化を伴う疾患であるという仮説を裏付けるものである。
この疾患の治療には、芸術療法、瞑想、呼吸法、鍼灸などの代替医療の手法が用いられる。
リハビリテーションプログラムは、1時間のセッションで特定の神経学的演習を行うもので、部分的には成功しているが、さらなる研究が必要である。各セッションは、上肢と下肢の複雑な動きを繰り返す認知運動、バランス運動、整復運動で構成されている。
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■参考文献
・https://www.medicinenet.com/what_is_havana_syndrome/article.htm、2021年8月10日アクセス