花輪和一 / Kazuichi Hanawa
幼少期のトラウマを源泉とした表現漫画
概要
花輪和一(1947年埼玉生まれ)は、日本の漫画家。1971年に『月刊漫画ガロ』に「かんのむし」でデビュー。初期は作者自身の幼少期の体験を元にした"業”や"情念”に満ちた内面的世界観を描き出す。絵柄は特に伊藤彦造に影響を受けている。
よく比較されがちな作家は丸尾末広だが、その相違は大正・昭和・都市を舞台とするのが丸尾であり、平安・室町時代の日本の土着的な村落を舞台とするのが花輪である。
その日本の村落に潜む情念や業の世界観は寺山修司とマッチし、実際に1970年代には寺山修司の養成で、彼が率いるアングラ演劇「天井桟敷」や、映画「田園に死す」のポスターを手がけている。
1994年に銃刀法違反で逮捕され、翌年実刑判決がくだされる。97年に仮釈放。長らく猟奇的な作風だったが、釈放後は自らの刑務所体験を元にした作品『刑務所の中』で作風に大きく変化が見られた。2000年以降になると一般誌で描く機会も増えたことや、また自身の精神的成熟にともなって、現在は初期作品で見られるような猟奇的な描写はほとんどない。
しかし、花輪の本質である「業」や「情念」といったテーマに関しては、近作の「呪詛」でも徹底的に描かれており、花輪ワールドは健在である。