丸尾末広「リボンの騎士」
丸尾末広衝撃のデビュー作
概要
『薔薇色ノ怪物』に収録
「リボンの騎士」は丸尾末広が1980年、24歳のときに『エロス'81 劇画悦楽号2月号増刊』誌上に執筆した漫画作品。記念すべき丸尾末広のプロデビュー作品として知られている。
収録当初のタイトルは「リボンの蛇少女」。「リボンの騎士」というタイトルに変更され、青林堂から刊行された単行本『薔薇色ノ怪物』に収録されている。
内容
肉が大好きでパパの帰宅を待ちわびる少女
本作品では頭に大きな赤いリボンを付けた育ちの良さそうなお嬢様「かおり」が主人公となっている。かおりは、おなかを空かして「オナカが、お肉食べたい、お肉ちょうだい」と部屋の中で裸でひとりはいずりまわり、あまりの空腹さにそばにいたカエルを食べてしまう。
部屋には父親らしき写真が置かれ、写真がクローズアップされるコマがあるが、かおりはどうやらこの父親の帰宅を待ちわびているようである。母親は継母らしく、かおりはこの継母から虐待されており、不満があるように見える。
そんなかおりの様子を部屋の窓からのぞき見している同年代ぐらいの男の子(シンちゃん)がいる。継母らしき人物を「ママ」と呼んでいることから、かおりの義兄弟かもしれない。男の子はかおりに見つかり、目が合うと、金縛りと催眠状態におちいる。
金縛りにかけらた男の子は、かおりに「おいでおいで」と誘惑され、引き寄せられた男の子はかおりちゃんにカニバリズム的なかたちで食べられる。その後、ベッドに寝そべり「パパ・・・早く帰ってきて」というセリフのコマで話は終了する。
構成
わずか4Pの短編作品だが、バルテュスの「ギターのレッスン」からの引用や楳図かずおのパロディ、包茎の少年、そして「みどりちゃん」の原型のようなものも見られ、人形、父娘の関係など、のちの丸尾末広の要素が凝縮されている。
また、赤と黒の二色刷りだが、真っ赤な赤いリボンと周囲のモノクロームのバランス感が素晴らしく絵画的でもある。