逆さ首/ Sakasakubi
江戸時代では珍しい脳性麻痺の見世物芸人
概要
逆さ首は天保二年(1831年)の夏から、江戸の麻布古川の猿茶屋や銀座三丁目の三川屋という水茶屋で興行をしていた見世物芸人。身体がぐにゃぐにゃになった畸形だった。
信濃国筑摩郡高入村の猟師十助の息子で本名は勇吉という。見世物として売り出したときは42歳だった。
身長一寸五尺あまり、肌の色は白く、髪は多くて黒色で髷大の結びをしていた。月代は濃くて青く、顔は細くこけており、また鼻は横に広がっており、眉毛は濃く長く、野太く錆ついたような声をしていたという。右の耳が半分かけていたが、これは幼少時に馬に食いちぎられたためだという。
胸の上から弓のように身体が後方へ折り曲がっており、左耳が乳に付き、右の肩が上にあがり、左の肩は下に下がっている。寝るときはものによりかからないと寝ることができなかったという。
左の手は動かないが、右の手は自由に動かせる。足で立つのは無理で膝を使って擦り歩くことしかできない。
もっともこの勇吉は生まれつき畸形だったわけではなく、14歳まで無病健康だった。それが15歳のときに風邪をこじらせ、急に肩を痛めこのようになったという。いわゆる脳性麻痺だろうと思われている。
世にも珍しい逆さ首だったので、当時、逆さ首を見ると悪事災難を逃れることができ、また逆さ首の絵を家の中に置くと、あらゆる病気を避け裕福で長寿になるという噂が広まり、連日見物人がかけつけたという。
あわせて読みたい
・可坊(馬鹿)
・缶児(四股欠損)
・ダルマ男(四股欠損)
・熊女(多毛症)
・花咲男(屁芸)
・逆さ首(脳性麻痺)
・鬼娘(口裂け)
・目出小僧(目出男)
・眼力太郎(目出男)
・猩猩兄弟(アルビノ)
・岩本梅吉(足芸)
・蛇小僧(魚鱗癬)
・熊童子(多毛症)
・有光伸男(人間ポンプ)
・小雪太夫(蛇食い)