ドール・ファミリー/ The Doll Family
アメリカで人気を博した小人カルテット
概要
ドール・ファミリーは、ドイツ生まれでアメリカで活躍した小人症のカルテット。1910年代なかばころから引退する1950年代後半まで、おもにアメリカのサーカスやサイドショーにおける定番アトラクションとして人気を博した。
彼らの活動はサイドショーが基盤だったが、映画業界へ俳優として参加もしている。代表的な作品は1939年にMGMフィルムが制作した映画『オズの魔法使い』に登場するマンチンキン人や、トッド・ブラウニングの1932年の映画『フリークス』で登場する小人症のキャラクターである。
メンバー
・グレイシー・ドール・アールズ(1899年3月12日-1970年11月8日)
・ハリー・ドール・アールズ(1902年4月3日-1985年5月4日)
・デイジー・ドール・アールズ(1907年4月29日-1980年3月15日)
・ティニー・ドール(1914年7月23日-2004年9月6日)
略歴
初期活動
ドールズ兄弟はドイツのシュトルペンで、エマ&ギュスターブ・シュタイナー夫妻の間に生まれた。7人兄弟でほかの3人は平均的な身長だった。
ハリーとグレースの二人は、最初「ヘンゼルとグレーテル」と称してサイドショーで活動していた。これが、カルテットの初期形態となる。
2人は1914年にアメリカの興行師バート・W・アールズと出会い、アメリカへ招待される。2人は101 Ranch Wild West Showの巡業に参加した。渡米後、兄妹はカリフォルニア州パサデナでアールズ一家とともに暮らした。アールズはその後、1922年に妹のデイジーを、1926年に妹のティニーをアメリカへ招待している。その後、4人兄妹はカルテットを組んで活動するようになった。
興行師アールズとともに渡米生活
ドールズ・ファミリーはリングリング・ブラザースやバーナム&ベイリーサーカスなどの有名サーカス団の巡業に参加し、そこで約30年間ショーで歌を歌ったり、踊ったり、乗馬のショーを披露した。
兄妹のなかでも特に人気があり稼いだのはデイジーだった。彼女は当時の人気女優メイ・ウエストをなぞって「ミゼット・メイ・ウエスト」というニックネームがつけられた。
渡米後、家族全体の姓として彼らは興行師のアールズと同じ姓「アールズ」を使っていた。1930年代にアールズが亡くなると、彼らは姓を「ドールズ」に変更した。
映画俳優業
ハリーは1925年にトッド・ブラウニング監督、ロン・チェイニー主演の映画『The Unholy Three』で無慈悲な小人役「トゥィードルディー」として出演する。
このころからドールズ・ファミリーは映画業もはじめる。彼らはサーカス芸人が現れるシーンのある映画に必ずといっていいほど出演した。ほかに、ローレル&ハーディとともにさまざまなコメディ作品にも出演している。
ハリーとデイジーの2人は1932年のトッド・ブラウニング監督の映画作品『フリークス』で主演クラスで抜擢され、ティニーも少しだけ出演している。実際のところ、ハリー自身がトッド・ブラウニングが興味を持っていたトッド・ロビンの小説『スパーズ』を基盤にした映画制作の話をもちかけたという。
1942年にデイジーは普通の身長の男性のルイス・E・ランニヤンと結婚したが、一年ももたず離婚。デイジーの一時的な結婚期間をのぞいて兄妹たちは常に親密でいつも一緒の家に住み、食事をし、働いてた。
『フリークス』を除き、映画俳優としてのドール一家の出演機会はいつも限定的だったので、彼らは映画俳優業に出るのを断るようになり、元のサーカス巡業に戻る。のちにドール一家が映画に出演したのは1952年の『地上最大のショウ』で、デイジーが脇役で少し出演した程度である。
1950年代後半において彼らはサーカスにおける定番アトラクションとして活躍した。1956年にリングリング・ブラザーズ・アンド・バーナム・アンド・ベイリー・サーカスとの契約が切れると、クリスティアーニ・サーカスと契約を結ぶが、2年後に彼らは引退した。
晩年
数十年のサーカス生活でドール一家は非常に裕福になり、フロリダ州サラソタに4人が生活をするための一軒家を購入する。雑誌に頻繁に掲載されたサラソタのドール一家の家屋には、カスタムメイドの小型家具が置かれていた。
敷地内には「ドールズ・ハウス」と呼ばれる建物があり、そこは一般の人が入ることができた。4人はその家で残りの生涯を過ごすことになった。
1970年にグレースが亡くなり、1980年にデイジーが亡くなる。1985年にハリーがなくなったあと、ティニーがドール一家の最後の生存者となり2004年まで生きた。
あわせて読みたい
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